「フォーチュンクッキー」2023年 アメリカ
世界の映画 映画の世界
第100回
「フォーチュンクッキー」
2023年
アメリカ 91分
〈監督〉ババク・ジャラリ
〈原題〉Fremont
フォーチュンクッキーとは、アメリカ等の中華料理店で、食後のデザートとして出されるクッキーで、中に運勢や短いメッセージが書かれた紙片が入っている。例えばこの映画に出てくるものでは、「あなたは幸せを追わず、作る人」、「今日あなたの成功を阻むものはない」、「タフな仕事の後、ご褒美の時間が」等々。
ドニアはアフガニスタン出身の独身女性。祖国で生活のために米軍の通訳の仕事をしていたが、タリバンが復権した後、命の危険を感じてアメリカに逃れてきた。殺された元同僚もいる。両親は「裏切り者の娘を育てた」と言われ続けている。今はカリフォルニア州フリーモントで中国人の経営するフォーチュンクッキー工場で働いている。つらい過去のせいか眠れない日々が続き、睡眠薬を求めて医師を訪ねる。医師にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。
工場では、年配のメッセージ・ライターが突然死をし、ドニアが後任に抜擢された。オーナーは言った。「このメッセージには責任があるんだ。幸先が良すぎても悪すぎてもよくない。独創的すぎず、当たり前すぎず。短すぎず、長すぎず。中国の古い格言通り、『美徳は中庸にあり』」。
ドニアは、自分が生き延びてアメリカにいることに罪悪感を覚えつつ、自分も恋をしたいと願っている。彼女は、「どうしようもなく幸せになりたい。ドニア」という言葉と自分の携帯番号を書いて、クッキーにしのばせた。
彼女の携帯にメッセージが届いた。「ベーカーズフィールドの陶器店で土曜日の午後にお会いしたいです。」彼女は期待に胸を膨らませて出かけて行った。旅先では、思いがけないことが待っていた。
