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「家へ帰ろう」 2017年 スペイン、アルゼンチン

世界の映画 映画の世界
第57回
「家へ帰ろう」
2017年 スペイン、アルゼンチン 93分
〈監督〉パブロ・ソラルス
原題:El ultimo traje

アブラハムの父は仕立て屋、ピオトレックの父はその店員であった。二人は同じ年の冬に生まれ、兄弟同然に育った。ユダヤ人のアブラハムの一家は、ナチスの支配下、幸せな生活から、突然、どん底に突き落とされる。父は銃殺され、妹は連れ去られ、彼自身も強制収容所に送られた。
いよいよ敗戦が近いと知ったナチスは、ユダヤ人皆殺しを試みるが、彼は「死の行進」から逃げ出した。痛めつけられた足を引きずって、家にたどり着くと、ピオトレックの家族が住んでいた。ピオトレックは父の反対を押し切り、彼をかくまい、介抱した。ようやく回復した頃、ピオトレックは、アルゼンチンに移住した叔母の住所と父から盗んだお金を渡す。アブラハムは、「いつかその後の人生を語り合おう。必ず戻って来る」と誓って旅立った。
88歳になったアブラハムは、故郷のポーランドへと向かう。70年以上前に親友と交わした約束を果たすために。
まずマドリッドへ飛び、そこから陸路の鉄道の旅が始まった。パリ、そしてワルシャワ。行く先々でハプニングが起き、さまざまな女性が彼を助けてくれる。パリでは「ドイツの地は踏みたくない」と言い張って周りを困惑させる。しかしさまざまな出会いにより、彼の心も少しずつ和らげられていった。
実家のあった町まで連れて行ってくれた看護師に、彼は言う。「やっぱり恐い。会えないことも会うことも。」
恐らくクリスチャンである彼女は言った。「大丈夫。神様はひとりだけ。呼び名は違っても、同じように必ず守ってくださる。」「いずれにしろ確かなことが一つある。あなたはすばらしい人よ。だから、はるばるここへ来た。」
ラストシーンに胸が熱くなる珠玉のロードムービー。

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