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「最高の花婿」 2013年 フランス

世界の映画 映画の世界
第26回

「最高の花婿」
2013年 フランス 97分
<監督>フィリップ・ドゥ・ショーブロン

フランスのロワール地方の田舎町に住む保守的で敬虔なカトリック信者であるヴェルヌイユ夫妻には4人の美しい娘がいる。伝統的な、というか普通のフランス人と結婚して欲しいと願っていたが、次々と裏切られていく。長女の結婚相手はアラブ系のイスラム教徒。次女の相手はユダヤ人。三女の相手は中国人。みんな市役所で非宗教的な結婚式を挙げた。父親はどの結婚式でも苦虫を噛み潰したような表情をしている。結婚後も婿たちとの諍いが絶えない。
クリスマス・イブに家族全員が久しぶりに集うことになった。妻たちは話題がアブナイ方向に行かないように神経をとがらせ、何とか平和に過ごすことができた。
翌朝四女のロールが婚約者のいることを両親に告げる。相手の名前はシャルル。いかにもフランスの名前!宗教はカトリック!両親は「ロールだけは裏切らないと信じていた」と期待に胸を膨らませる。しかし会ってみてびっくり。相手はアフリカ系で、コートジボワール人であった。
父親は帰りの車中で「ジョークにしても強烈すぎる!」と言い放ち、母親も「育て方が間違っていたのかしら」と涙ぐむ。翌日、父親は朝から力任せにまき割りをし、庭中の木をチェーンソーで切り倒す。他方、シャルルの父親も白人女性との結婚に反対であった。二人の父親は結婚阻止で意気投合(?)するのだが、この先どうなるのだろうか。
人種ネタのジョークもたくさん出てくるが、「お叱り」などのフォローでぎりぎりセーフという感じである。フランスは移民大国であり、異人種間結婚が世界一多いそうであるが、そうしたフランスならではの、ユーモアと示唆に富んだ上質のドタバタ・コメディである。

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