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「オリーブの樹は呼んでいる」 2016年 スペイン

世界の映画 映画の世界
第47回
「オリーブの樹は呼んでいる」2016年
スペイン 99分
<監督>イシアル・ボジャイン

スペイン、バレンシア地方で、先祖から代々受け継いできた樹齢2千年のオリーブの樹が売られてしまうことをめぐる老人と孫娘の物語。アルマの祖父は農園の古いオリーブの樹を誇りに思い、ある意味で家族よりも大事に世話をしてきた。家族は反発したが、アルマだけは祖父と共に、その樹を「怪物君」と呼んで愛した。ところがある日、アルマの父や伯父はその樹を3万ユーロで売却してしまう。祖父はその日から口が利けなくなり、体も衰弱していく。

アルマは祖父のために「怪物君」の居場所を探し出し、それを取り戻すために、無謀な計画を立てて実行に移していく。それはドイツ、デュッセルドルフのある会社(しかもエコを売りにする会社)の広いロビーに置かれていた。計画のはじめはデュッセルドルフの教会の牧師から届いたという嘘の手紙。「信心深い信者から聖なるオリーブの樹を受けましたが、それは間違っていました。この樹を大切に育ててくれた方に返還します。」
それを単純に信じた伯父と、嘘だと気付きつつもアルマに心を寄せる青年ラファの運転で、大型トラックはドイツへ向かう。アルマの友人がこの話をSNSで流すと、ドイツの若者たちの間で広まり、実況中継され、会社の前には環境保護団体の人だかりができるようになる。果たして樹は戻ってくるのか。

オリーブがそれほどの長命であることに驚いたが、オリーブは聖書とも縁が深い。大洪水の後、ノアが鳩を放つと鳩はオリーブの葉をくわえて戻ってきたことから、オリーブは平和のシンボルとなった。王の戴冠式はオリーブの油注ぎによって行われ、主イエスが最後の夜に祈られたのもオリーブ山であった。

ポスター画像

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