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「バベットの晩餐会」 1987年 デンマーク

世界の映画 映画の世界
第7回
「バベットの晩餐会」1987年。
デンマーク。104分。
<監督>ガブリエル・アクセル

少し古い映画であるが、クリスマスの季節に見るのにふさわしい心温まる美しい映画を紹介したい。
一九世紀、デンマークの小さな漁村での物語。あるプロテスタント教会の老牧師に、マルチーネとフィリパという二人の美しい娘がいた。彼 女たちは、妻に先立たれた父の教会活動を支える貴重な働き手であった。
謹慎のために村に送られた若き軍人ローレンスはマルチーネに、休暇で村を訪れたフランス人歌手パパンはフィリパに、それぞれ心を奪われて求愛するが、彼女たちは父に仕える道を選ぶ。
二人は父の死後もそのまま結婚せずに教会に仕え、何十年かが過ぎた。1871年、パリで起きた政変により家族を失い、命からがら逃げて来た一人の女性が姉妹の前に、助けを求めて現れた。歌手パパンの紹介状を持ったバベットであった。バベットは住み込みの家政婦となり、さらに一四年が過ぎる。老姉妹は、村の人々の信仰が弱っていくのを憂え、父の教えを思い起こすべく、父の生誕百年記念行事を計画する。ちょうどその頃、バベットに一万フランの宝くじが当たり、彼女は姉妹にその料理を自分に任せて欲しいと申し出る。彼女は実はかつてパリの超一流ホテルのシェフであったのだ。
映画には、『讃美歌21』454番「愛する神にのみ」をはじめとする素朴で美しい賛美歌や詩編85編11節「正義と平和は口づけし」のメッセージ、クリスマスの想い出なども登場する。
一九八七年度アカデミー賞外国語映画最優秀賞を受賞した不朽の名作である。

(「からしだね」2015年12月号)

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