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ブラジルの熱い風 2

私は9月4日から10月3日まで一ヶ月間、ブラジル東北部のメソジスト教会および、関係施設を、バスで視察旅行する機会を得た。東北部とは、南米大陸の東に飛び出した熱帯地域で、ここだけで日本の面積の4倍以上もある。サンパウロから東北部の入り口であるサルバドールまで約2千キロ。ここからあらに1500キロ北上したところにある都市フォルタレーザまで足を伸ばした。車中泊8回、バスの中で過ごした時間は合計120時間にもおよんだ。同じブラジルとはいえ、サンパウロとは人種も言葉もずいぶん違う。

東北部はブラジル発祥の地であり、独特の歴史と文化を誇るが、今日ではブラジルの最貧地帯、もっとも課題の多い地域である。東北部の幼児死亡率は千人中88.2人であり、これは南北アメリカの最貧国ハイチの86人よりも高い比率である。開拓以来ほんの一握りのファミリーによって、政治、経済、商業などの重要なことがすべて支配され、貧しい地区におけるコミュニティーセンター、保育所などの事業も行っている。

今回の旅行の主な目的は、東北部の人々の現実にふれること、メソジスト教会の働きにふれることであったが、私の今後の赴任地決定のための視察も含んでいた。東北宣教区の監督、私が属しているサンパウロ地区の監督との話し合いを経て、私はこの11月から東北部のちょうど真ん中にある都市レシフェ/オリンダの貧しい地区における教会とコミュニティー・センターの協力牧師として任命されることとなった。次回からは、この熱帯都市レシフェ/オリンダから熱い風を送りたい。

(松本敏之)(「キリスト新聞」連載、1996年11月)

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