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「ペトルーニャに祝福を」 2019年 北マケドニア他

世界の映画 映画の世界 
第79回
「ペトルーニャに祝福を」
2019年 北マケドニア・ベルギー・スロベニア・クロアチア・フランス合作
100分
〈監督〉テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ
〈原題〉Gospod postoi, imeto i’ e Petrunija

 世界のキリスト教会は、スラブ世界を中心に広がっていった東方教会(正教会)と、ヨーロッパに広がっていった西方教会の二つに大きくわけることができる。ローマ・カトリック教会、プロテスタント教会は後者に含まれる。

 東方教会では、クリスマス諸行事の終わりに神現祭という祭りがあり(西方教会の公現祭に相当)、イエス・キリストの受洗を記念する。
 祝い方は地域によって異なるが、この映画の舞台となった北マケドニアの地方都市シュティプでは、司祭が橋の上から川の中に「幸せの十字架」を投げ込み、それを上半身裸の男たちが川に飛び込んで競い合って拾う。それを手にした男は、1年間幸せに過ごせると信じられている。

 主人公のペトルーニャは32歳の独身女性。体型太めで美人でもない。大学で歴史を学んだが、それは生かせず、仕事の経験はウェイトレスのアルバイトのみ。知り合いを通して裁縫工場の採用面接を受けるが、侮辱され、セクハラを受けて、飛び出してきた。
 その帰り道、神現祭の祭りの一行に遭遇する。司祭が投げた十字架が、ペトルーニャの近くに流れてきた。彼女は、とっさに水の中に飛び込み、それを手にして掲げた。前代未聞の珍事に現場は大騒ぎとなる。男たちが、彼女からそれを奪おうとするが、彼女は逃げ帰った。
 母親の通報により、彼女は警察に連れて行かれて、厳しい事情聴取を受ける。教会の司祭もやってきて、穏便に返還を求めるが、彼女は「私には幸せになる権利はないの?」と訴える。しかし十字架の効果かどうかわからないが、不思議な形で彼女に幸せが訪れようとしていた。
ポスター画像

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