「お坊さまと鉄砲」2023年 ブータン
世界の映画 映画の世界
第99回
「お坊さまと鉄砲」
2023年
ブータン・フランス・アメリカ・台湾 112分
〈監督〉パオ・チョニン・ドルジ
〈英題〉The Monk and the Gun
ブータンはかつて国王を中心とする絶対君主制であったが、2006年国王が自ら退位し、民主制へ移行することとなった。選挙を知らない国民に対して、政府の役人が地方をまわって選挙の指導をする。ウラ村にも役人がやってきた。しかし模擬選挙が近づくとそれまで仲の良かった村人の間に不和が生じ、対立候補支持の子どもへのいじめも始まった。
村のラマ(高僧)は、「物事を正さねばならん」と言って、「4日後の満月の日までに銃を2丁準備するように」と弟子に命じた。弟子は村を奔走し、ある家で家宝となっている古い銃があるのを聞きつける。それはアメリカの南北戦争時代に使われていたヴィンテージものであった。
同時にアメリカの銃コレクターのロンがその銃を探し求めてブータンに入国していた。そのために約8万ドルを出す覚悟をしているが、タッチの差で入手し損ねた。2丁の銃を必要としているラマの弟子は、「007が映画で使っていた銃2丁となら交換してもよい」と条件を出した。ロンはインドからそれを密輸入するのであるが、警察の追手が彼に迫っていた。
ラマはあえて模擬選挙の日に法要を実施する。ラマの銃の用い方は、誰もがあっと驚くものであった。
「私たちは大きな変革の時を迎えている。私たちは救国の仏塔を建てる。その土台に、穀物を埋めれば飢饉を防げる、薬を埋めれば流行り病を防げる。私たちは、憎しみ、争い、苦しみを象徴する何かを、ここに埋める必要がある。苦難を乗り越え、慈悲心と平和がその三つの毒に打ち勝ったことを示すためだ。」
警察の手前、ロンも泣く泣く、儀式を見守るのである。
