2026年6月14日説教「主を仰ぎ見て力を得よ」松本敏之牧師
ローマの信徒への手紙 8:35-39
(1)ゴスペルとは
今日は、ヴォーカルユニットAO(アオ)の皆さんが、ゴスペルという音楽を聴かせてくださいました。
ゴスペルという音楽は、今では、日本でも宗教的な枠組みを超えて、多くの人たちに歌われていますが、もともとはアメリカの黒人たちのキリスト教信仰から生まれてきた神様をたたえる音楽です。そして教会こそがゴスペルが歌われる本来的な場所です。
そもそもゴスペルという言葉は、「グッド・ニュース」、(神様からの)「よき知らせ」「福音」という意味です。ですから聖書全体がゴスペルと言えるのですが、その中でも、新約聖書の最初にある「福音書」のことをゴスペルと言います。たとえば、一番はじめの「マタイによる福音書」は、英語では「The Gospel According to Matthew」というのです。
では、そのゴスペル「よき知らせ」の中心は何かと言えば、それは「神様が私たちを愛してくださっている」ということ、そしてそのことを知らせるために「イエス様を私たちのもとに遣わしてくださった。送ってくださった」ということです。そのイエス様はいつも私たちと一緒にいてくださる、どんな時にも一緒にいてくださる」ということです。それがゴスペルということの中心的な意味、聖書が告げる「グッド・ニュース」「よき知らせ」です。
イエス様は、どんなことがあっても、私たちを裏切らない。友達に見捨てられたり、見放されたりすることがあっても、イエス様だけは絶対に私たちを見捨てたり、見放したりすることはありません。
また「どんなにつらいことがあっても、どんな試練にあっても、イエス様の愛が私たちと共にあって、私たちを守ってくださる」と聖書は告げています。
(2)キリストの愛
パウロさんという人は、こう言いました。
「誰が、キリストの愛から私たちを引き離すことができましょう。」ローマ8:35
それから、いろんな苦しいことを述べて、イエス様の愛はそれらをすべて超えている、というのです。そして最後にこう言いました。
「私は確信しています。死も命も、天使も支配者も、現在のものも将来のものも、力あるものも、高いものも深いものも、他のどんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から私たちを引き離すことはできないのです。」ローマ8:38~39
(3)主を仰ぎ見て
だからこの主を仰ぎ見て力を得よ、というのです。だからこの主を仰ぎ見て光を得よ、というのです。主は我が力、我が盾なのです。私に迫るどんな山も超える力を与えてくださるのです。でも私たち弱いので、それを信じられなくなります。だからそのことを信じさせてください、と祈るのです。恐れず、ただ主を信じ、進むことができるように、と祈るのです。
「主」というのは、旧約聖書では天の神さまのことを指していますが、新約聖書ではイエスさまのことを指しています。二重の意味(ダブル・ミーニング)と言ってもよいでしょう。
(4)高橋順子さんの賛美歌
この後、「どんな時でも」という賛美歌を歌います。
「どんな時でも、どんな時でも
苦しみに負けず、くじけてはならない。
イエスさまの、イエスさまの
愛を信じて。」
この歌の言葉を書いたのは高橋順子ちゃんという6歳の女の子でした。高橋順子ちゃんは、この詞を書いた時、骨肉腫(骨のがん)という苦しい病気と闘っていました。病気と闘いながら、この詞を書いたのです。そして7歳で短い生涯を終えて、天国へ旅立っていきました。1959年生まれですので、私とほぼ同い年(1歳違い)の方ですが、1967年に天に召されました。彼女は、教会学校(教会こども会)に通ってイエスさまのことを信じる子どもでした。そしてどんな時でも苦しみに負けず、イエスさまの愛を信じて、くじけませんでした。2節はこういう言葉です。
「どんな時でも、どんな時でも
幸せをのぞみ くじけてはならない
イエスさまの イエスさまの
愛があるから」
高橋順子ちゃんの生涯はたった7年間の短いものでしたが、病と闘い、小さい体を励ましてくださるイエスさまの愛を身近に感じていました。そしてイエスさまの愛を信じて天に召されていった、その生きる姿が、賛美歌の言葉となって、60年経った今でも、私たちを励まし続けているのです。
(5)花は咲く
今日はAOの皆さんが、ゴスペルではありませんが、最後に、「花は咲く」という歌を歌ってくださいました。この歌は、今から15年前、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地および被災された方々の復興を応援するために作られた歌です。この地震の時にも多くの苦しみ、悲しみがありましたけれども、それを乗り越えていく力と未来への希望が伝わって来る歌です。どんな状況にあっても花は咲き、生きる力を与えてくれます。その花もまた、神様が私たちに与えてくださった賜物であることを、今日の花の日こどもの日に、改めて心に留めたいと思います。