「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」 2023年 アメリカ
第97回
「ホールドオーバーズ
置いてけぼりのホリディ」
2023年 アメリカ 133分
〈監督〉アレクサンダー・ペイン
〈原題〉The Holdovers
舞台は、1970年のマサチューセッツ州ボストン郊外の全寮制の高校。冒頭から聖歌隊の歌う「ああベツレヘムよ、小さな町」の賛美歌が流れ、クリスマス・ムードが高まっていく。
そんな中、実家に帰ることのできない学生たちのために、教師のポールは彼らの世話役として、食事係のメアリーと共に、学校に残ることになった。ポールは堅物で融通が利かず、しかも皮肉屋なので、学生からも同僚からも嫌われている。メアリーは、大切な一人息子をベトナム戦争で亡くし、今は一人で寂しく過ごしている。
残る予定だった学生たちは帰れることになり、逆に帰る予定にしていたアンガスは、母親からの突然の連絡で帰れなくなってしまった。母親は、金持ちの男性と再婚し、アンガスに帰って来て欲しくないようだ。置いてけぼりにされたアンガスは問題行動に走り、ポールも厳しい態度でそれに向き合う。しかし共に過ごすうちに心が通うようになり、メアリーを含む3人は疑似家族のようになっていく。
アンガスの強い希望により、3人はボストンに出かけることになった。アンガスは、偶然ポールも心に深い傷を負っていることを知り、お互いの距離が縮まっていく。アンガスは、精神病院に隔離されている実父に会うためにボストンに来たかったのだと告げ、ポールはそれを許してやった。そのことが後で大問題となるのだが、ポールはアンガスをかばうために自ら大きな犠牲を払うこととなる。
心温まるクリスマス映画である。イエス・キリストは、自ら大きな犠牲を払うために、この世界に来られたことを思い起こした。光は闇の中でこそ、強く輝くのである。
