1. HOME
  2. ブログ
  3. 「ハリエット」2019年 アメリカ

「ハリエット」2019年 アメリカ

世界の映画 映画の世界
第73回
「ハリエット」
2019年 アメリカ 125分
〈監督〉ケイシー・レモンズ
原題:Harriet

これは元奴隷で奴隷解放運動家として闘った黒人女性ハリエット・タブマンの伝記映画である。
「自由の国アメリカ」の新たなシンボル的存在である彼女は、2016年オバマ政権時代に、新20ドル紙幣の顔として採用されることが決定していたが、トランプ政権はその延期を発表していた。しかし2021年1月バイデン新政権は、その計画を再び推進することを発表した。
映画の製作者は、「米国では皆が彼女のことを知っているが、誰もすべては知らない」と言う。そして5年以上にわたる綿密な調査に基づいて、映画は製作された。
ハリエットは1820年頃、奴隷の子として生まれたが、20代後半の時に売りに出されそうになり、たった一人で逃亡する。不思議にも多くの人に助けられながら奇跡的にフィラデルフィアにたどり着く。彼女は「神が導いてくださった」と確信していた。
彼女はその後も危険を顧みず故郷へ戻り、次々と奴隷たちを救出していった。やがて彼女は奴隷救出ネットワーク「地下鉄道」に加わり、「車掌」として働くようになる。南部の農村から、奴隷という「乗客」たちを安全な「駅長」のもとへ運ぶ仕事だ。
彼女は奴隷たちに近づくと「行け、モーセ」という黒人霊歌を歌った。どの部分を歌うかが「今だ!」「待て!」の合図になったという。
監督も黒人女性であるが、ハリエットから学ぶメッセージとして次のように語っている。「悪に抵抗すること。理想を掲げ、実現のために行動すること。自由のために闘い、それを手に入れること。不屈の精神と立ち上がる勇気があれば、歴史は変えられる。自分が望めば、人生だって変えることができる。」

 

関連記事