「未来を花束にして」 2015年 イギリス
世界の映画 映画の世界
第40回
「未来を花束にして」
2015年 イギリス 106分
<監督>サラ・ガヴロン
「未来を花束にして」とはほんわかとした幸せを感じさせる邦題だと思うが、原題の「サフラジェット」は、「過激な女性参政権論者・活動家」を指す言葉である。
物語は、今から約100年前のイギリスにおいて、女性参政権を得るために、身を賭して闘っていった女性たちの実話をもとにしている。
そのカリスマ的リーダー、パンクハースト夫人は呼びかける。「50年間、参政権を得るために平和的に闘ってきました、侮辱や暴行や黙殺に耐えながら。今や犠牲を伴う行動こそ必要不可欠な戦術です。将来生まれる少女が、兄や弟と同じ機会を持てる-そんな時代のために闘うのです。」
主人公のモードは、7歳の時から洗濯工場で過酷な労働に従事してきた。性的暴力も受けた。今も同じ工場で働きながら、夫と小さな息子の3人で慎ましく暮らす。ふとしたことからサフラジェットたちの活動を知り、それに加わっていく。何度も投獄されている仲間たちに励まされながら、モード自身も成長していく。
ある日、国王も参加するダービー(競馬)があることを知り、モードはエミリーと共に出かけた。女性参政権をアピールする機会が途絶えたに見えた時、エミリーはとんでもない行動に出た……。
活動家たちを励ましてきた『夢』という書物を、モードはエミリーから手渡されていた。パンクハースト夫人から始まり、モードで7人目である。中にはこんな1節がある。「『なぜ私が前人未到の地を行くのですか。私は一人きりです。』〈理性〉は答える。『静かに。何が聞こえる?』女は答えた。『足音です。何百、何千、何万というこちらへ向かう足音』『お前のあとを継ぐ者の足音だ。先導せよ!』」
私たちも、次の世代のためになすべきことをしなければならないと思う。