「国際市場で逢いましょう」2014年 韓国
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第24回
「国際市場で逢いましょう」2014年 韓国 127分
<監督>ユン・ジェギュン
朝鮮戦争以後の激動の韓国現代史を家族の物語として描き、韓国で大ヒットした映画である。
戦後の貧しさと高度経済成長期を一家族の視点で描くという点では、「ALWAYS 三丁目の夕日」と共通するものがあり、事実、ジェギュン監督は、日本のこの映画も参考にしたと語る。しかしほのぼのとした「三丁目」に対し、「国際市場」のほうは強烈で激しい。国民性の違いと同時に、経験の厳しさの違いが表れているのだろう。
少年ドクスの一家は、朝鮮戦争当時(1950年)、現在は北朝鮮領土となっている興南(フンナン)に住んでいた。町は中国軍に攻め入られ、米軍は大規模な撤収を決定する。港には米軍の船に乗せてもらおうと大勢の避難民が押し寄せた。あと一歩のところで船から落ちてしまった妹マクスンを探し助けるために、一旦は船に乗った父も船から降りて行った。父はドクスにこう語った。「釜山の国際市場のコップンの店へ行け。そこで逢おう。家族を守れ。私が着くまでお前が家長だ。」母親と幼い弟妹が一緒だった。
成人したドクスは、弟を大学へ通わせるために、西ドイツへ炭鉱員として出稼ぎに行く。同様に、将来の妻ヨンジャも看護婦として来ていた。看護婦と言っても、死体洗浄等の厳しい仕事が主である。
ベトナム戦争時には、妹の結婚準備資金や「コップンの店」購入のために、民間技術者としてサイゴンに渡る。
ドイツでもベトナムでも死にそうな経験をして帰国する。それでも彼は父親との約束を心の支えとして、がんばり通した。妹のマクスンとは奇跡的な再会を果たすことになる。日韓の戦後史の違いを感じつつ、恋人との距離感などは日韓共通であり、家族への愛情は世界共通であると、改めて思った。