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「いつかの君にもわかること」 2020年 イタリア・ルーマニア・イギリス

世界の映画 映画の世界 
第90回
「いつかの君にもわかること」
2020年 イタリア・ルーマニア・イギリス95分
〈監督〉ウベルト・パゾリーニ
〈原題〉Nowhere Special

 ジョンは窓拭き清掃員、33歳。4歳のマイケルを男手一つで育てて来たシングル・ファーザーであるが、不治の病で余命わずかと宣告されてしまった。マイケルの母親は行方不明である。ジョンは自分が世を去った後、マイケルに最善の将来を備えてやりたいと願い、奔走する。「理想の家族」を探し、ソーシャルワーカーと共に、次々と「家族候補」を訪ねていく。
 ある夫婦は豪邸に住み、子どもには立派な教育を受けさせたいと申し出る。ある老夫婦は二人べったりである。すでに年上の女の子を迎えているが、子どもが見えていないように思える。ある家にはたくさんの人種の子どもがおり、「実の子も養子も同じように愛している」と言う。「自分たちに養子は必要ないが、ゆとりがあるから、親が必要な子がいるなら」と公言する夫婦もいる。でも赤ちゃんが来ると思っていたようだった。子どもを受け入れる環境が整っていないシングルマザーもいる。ジョンは、なかなか決心がつかない。
マイケルはソーシャルワーカーの助言に従い、「思い出ボックス」を用意した。その中には、窓拭きのワイパーや帽子の他、マイケルが将来、折々に読む手紙がたくさん入れられている。「運転免許を取得した時」等々。
 愛する子どもの将来を案じつつ、先立たなければならないのは本当につらいことと思う。そこではできる限りのことをしながら、神様に委ねていく信仰が求められるのだろう。ジョンがマイケルと毎晩共に祈った祈りこそが、一番の遺言なのかもしれない。
「今から眠りにつきます。私の魂をお守りください。夜通し神様に見守られ、朝日で目覚めますように。アーメン」

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