『CD付き バッハのコラールを歌う 名曲50選』 川端純四郎・関谷直人編著、今井奈緒子演奏(キリスト新聞社、2007年)
〈CDを聴きつつ、歌ってみよう バッハの賛美歌の魅力を体感できる書〉評者=松本敏之
果たして、CD 付き書物なのか、それとも詳しい解説書付きCD なのか―。 それはあなたの使い方次第です。
私なりの実践的利用法を紹介します。まず、「はじめに」と「あとがき」を読み、最小限のことを理解します。「バッハが歌った賛美歌(コラール)を、バッハの伴奏譜で歌ってみたい」というのがこの本の趣旨です。バッハは、数百にものぼるコラールの旋律に和声を付け、編曲もしました。この書物では、それらから『讃美歌21』(以下『21』) に収録された50曲を取り上げ、『21』の配列順に並べています。 またバッハがアレンジした楽譜に『21』による日本語歌詞の中の1節が付けられています(『21』とは、メロディーやリズムが違うので要注意)。
次にCDプレーヤーと付箋紙等を用意し、楽譜と巻末の「CD収録曲一覧」を見ながら、バッハのコラールの旅に出かけましょう。オルガン演奏は今井奈緒子さん。1回目は、50曲を概観してはいかがでしょうか。知っている曲や気になる曲があれば、楽譜にしるしを付けておきます。50曲のコラールの他に、11曲の独奏曲が付いて、CD2枚で82分(これだけでも4,410円の価値あり、です)。2回目以降は1曲ずつCD を聴いて、川端純四郎さんによる詳しい解説を読み、 そしてもう一度CDをかけて歌ってみるのがいいかもしれません。どこからでもいいのです。気に入った曲からでもいいし、今が4月なら復活節のコラールから始めてもいいでしょう。あなたが聖歌隊のメンバーなら、バッハのこの楽譜に、『21』の歌詞をのせて、四声で歌うことを提案してもいいでしょう。賛美歌指導をする時には、詳しい解説書になります。オルガニストならば、今井さんの演奏はとてもよい模範になるでしょう。またあなたが(私同様)、「ながら族」であるならば、このCDは最高のBGMにもなるでしょう。無意識のうちにコラールのメロディーを追い、「これ、何だったかな」と解説書を開く。こんな贅沢はありません。
録音・編集の労をとられた関谷直人さんのバッハ・小エッセイも気が利いています。 Ω
(「信徒の友」日本キリスト教団出版局、2008年4月号掲載)