「枯れ葉」 2023年 フィンランド・ドイツ
世界の映画 映画の世界
第96回
「枯れ葉」
2023年 フィンランド・ドイツ 81分
〈監督〉アキ・カウリスマキ
〈原題〉Kuolleet lehdet
フィンランドの名匠、アキ・カウリスマキ監督が2017年の引退宣言を撤回して、味わい深い大人のラブストーリーを携えて6年ぶりに映画界に戻って来た。
この映画は、監督の1990年代の「労働者三部作」に続くもので、労働者の厳しい生活と、その中にも小さな幸せがあることを描く。主人公のアンサは、何度も「愛が実りかけては消える」という経験をし、希望を失いかけるが、その愛は消えてはいなかった。映画のキャッチコピーは「愛を、信じる」である。
アンサは職場のスーパーで、廃棄する賞味期限切れの食品を、貧しい青年にわけてやり、自身も小さなパンを持ち帰ろうとするところを見つかり、首を切られてしまう。彼女がネットで見つけた次の仕事はレストランの皿洗い。しかし最初の給料を受け取るはずの朝、店主が麻薬の売買で逮捕され、給料はもらえずじまい。
絶望しているところへホラッパが現れ、アンサをカフェに誘い、映画に誘う。ホラッパも何度も職場を辞めさせられる経験をしていた。彼の「また会いたい」という言葉に応えて、アンサは電話番号のメモを渡すのであるが、ホラッパはその紙をなくしてしまう。電話が来ないので彼女はふられたと思い込んでいた。
時が経ち、二人は映画館の前で再会を果たす。アンサはホラッパを自宅に招く。彼がアルコール依存症であることを知ったアンサはそれをとがめると、彼は去ってしまった。彼女は再び寂しい生活を過ごすことなる。時が経ち、ホラッパから電話を受けたアンサは、ホラッパが彼女のために断酒をする訓練をしていたことを知る。アンサは期待に胸を膨らませるが、彼女には次なる試練が待っていた。
