松本敏之流川柳④

「断食と祈りによってメタボ去れ！」

（「信徒の友」2019年10月号掲載）
人間ドックの「メタボリック判定」で、「予備群該当」とされ、がっかりして詠んだ一
句です。
〈参考聖句〉「しかし、この種のものは、祈りと断食によらなければ出て行かない」（マ
タイ17：21。
この聖句、実は、後代の付加とされるもので、新共同訳聖書では、本文からははずされ
、マタイ福音書の終わりに（60頁）に「おまけ」として記載されています。
もともと、直前のマタイ17 ：20は、「はっきり言っておく。もし、からし種一粒ほどの
信仰があれば、この山に向かって、『ここから、あそこに移れ』と命じても、そのとおり
になる。あなたがたにできないことは何もない」という聖句です。これを書き写していた
写本家が、「でもやっぱり山は動かないよね」と思って、みんながつまずかないように、
無難な線で、「しかし、この種のものは、祈りと断食によらなければ出て行かない」と付
け加えてしまったのでしょう。これを写本家の誘惑と言います。おかげで、それから後の
教会の人たちは迷惑をこうむることになりました。
いずれにしろ、メタボの話とは関係ありません。