「7番房の奇跡」2013年 韓国
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第30回
「7番房の奇跡」
2013年 韓国 127分
<監督>イ・ファンギョン
心を揺さぶられるクリスマス映画を紹介したい。
知的障がいをもつヨングは、しっかり者である6歳の娘イェスンと二人暮らしである。来春小学校へあがるイェスンは、セーラームーンの絵柄の入ったランドセルが欲しくて、毎日のように父と共にお店のショーウインドーを眺めている。ところがある日、そのランドセルは裕福そうな家庭の少女に買われてしまった。
翌日その少女は、ヨングの前に現れ、親切にも「別の店にもあるよ」と言って、先に走って案内をする……。
画面は、突然、その少女が血を流してぐったりと横たわり、その体に触ったり、揺さぶったりするヨングの姿が映し出される。ヨングはその場で幼児強姦殺人事件の容疑で逮捕、収監されてしまった。
刑務所では、7番房に入れられ、最初は罪状書きから「最低の男だ」と痛めつけられるが、心優しく、危険も顧みず人を助けようとするヨングに対し、まわりの人たちは「彼が本当に殺したのか」と疑問を抱くようになる。刑務所の課長もヨングに命を助けられ、同様の思いをもつ。調べるうちに、彼らはヨングの無罪を確信し、何とか彼を助けようとするが、大きな障害が立ちはだかっていた。ヨングは、裁判の前に、娘をだしに脅され、「自分がやった」と証言してしまうのである。
「このまま逝かせてたまるか」と7番房の仲間たちは、刑務所内のクリスマス会の日に、ある行動を起こす計画を立てた。いよいよクリスマス当日、近隣の教会からやってきた子ども聖歌隊にはイェスンも加わっていた。子どもたちが「さやかに星はきらめき」を歌う中、彼らはついにその計画を実行に移すのである。
障がい者への偏見と差別、冤罪の恐ろしさについて、改めて考えさせられる。