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「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」 2014年 フランス

世界の映画 映画の世界
第27回

「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」
2014年 フランス 105分
<監督>マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール

パリ近郊にある高校での実話を元にした映画である。

移民が多く住む貧しい地区にあるレオン・ブルム高校、その中でも「落ちこぼれ」の生徒が集められた高一のクラス。教室は学級崩壊状態で、どの教師もお手上げである。しかしアンヌ・ゲゲン先生は違った。彼女はいつも冷静で、生徒たちを信じ、愛情深く見守り続ける。アンヌは、彼らが厳しい家庭環境にあること、人種や宗教の問題を抱えていることをよく知っていた。
歴史の教師であるアンヌは、生徒たちにクラス全体として「全国歴史コンクール」に参加するように呼び掛ける。テーマは「子供と若者たち-ナチス強制収容所の日々」。

最初は、校長先生も「他のクラスならまだしも」と否定的であり、生徒たちも茶化すばかりであったが、忍耐強くかかわり続ける先生に促されて、少しずつ変わっていく。

決定的であったのは強制収容所の生存者ジゲル氏を教室に迎えたこと。生徒たちは身じろぎひとつせず、その証言に聞き入る。「諦めなかったのには、どのような心の支えがあったのですか」という質問に、彼は「まだ15歳であった私は、いつかパリの街に戻ったら、友人全員に会いに行き、この武勇伝を語ってやろう。強い奴だと言われるに違いない」と答える。生徒たちは小さく笑いながら涙ぐむ。「自慢でも何でもいい。ほんの些細なことが生き抜く力になるのだよ。命と尊厳は闘って守らねばならない。」

コンクールに向けて、彼らは心を一つにしてラストスパートをかけていく。
真の教育のあり方、本物が人を変えていく迫力、戦争の悲劇を伝える責任など、現代日本に生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれる。

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