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「ブータン 山の教室」 2019年 ブータン

世界の映画 映画の世界 
第80回
「ブータン 山の教室」
2019年 ブータン
110分
〈監督〉パオ・チョニン・ドルジ
〈原題〉Lunana: A Yak in the Classroom

 ルナナ、そこはブータンの首都ティンプーから車で8時間行った後、山道を8日間歩いた先にある標高4,800メートルの村。人口は56人。
 ウゲンは、教員としての5年の奉仕期間のうち4年を終えたところだが、将来はオーストラリアで歌手になりたいと夢見ている。しかし最後の1年、彼はルナナの学校の教師となることを命じられた。ウゲンは村に着いたとたん、村長に「私には無理です」と告げる。

 翌朝、クラス委員のペム・ザムが寝ていたウゲンの家のドアをノックする。「おはようございます。授業は8時半からです。今は9時です。」教室では顔を輝かせた子どもたちが待っていた。自己紹介で一人の少年は語った。「将来は教師になりたいです。先生は未来に触れることができるから。」彼は村人や子どもたちの熱意に促されて、腰を据えて務めを全うすることにした。
 ウゲンはまた、山に向かって「ヤクに捧げる歌」を歌うセデュに心惹かれ、彼女に歌を教わるようになる。彼女も言う。「先生は子どもたちの希望です。運命を感じます。」

 約束の期間が終わり、冬が近づいてきた。村が雪で覆われる前に去らなければならない。彼はオーストラリアから就労ビザが出たという知らせも受けていた。村長は言った。「この国は世界で一番幸せな国と言われているそうです。それなのに、先生のように国の未来を担う人が幸せを求めて外国に行くのです。」

 彼は惜しまれつつ、村を去る。標高5,240メートルのカルチュン峠で、彼は旅の安全を祈り、石を積んだ。そこには「いつか戻れるように」との願いが込められていた。
本当の幸せがどこにあるかを教えてくれる映画である。

ポスター画像

 

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