「バルフィ!人生に唄えば」 2012年 インド
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第10回
「バルフィ!人生に唄えば」
2012年、インド。151分。
<監督>アヌラーグ・バス
バルフィは生まれつき耳が聞こえず、口も利けない。しかし明るくたくましく生き、まわりの人を幸せにする不思議な力をもっていた。そんなバルフィをめぐる二つの恋、いや愛の物語。
バルフィは、街角でふと出会った美女シュルティに心を奪われる。彼女にはすでに婚約者がいたが、バルフィはあきらめない。シュルティも彼に惹かれていくのであるが、幸せになるために安定を優先してそのまま結婚してしまう。
数年後バルフィの前に現れたのは幼なじみのジルミル。大資産家の孫で、重い自閉症であり、優しいバルフィに想いを寄せている。バルフィの父はジルミルの父の運転手を務めていた。ある日、バルフィの父が腎不全で倒れ、病院で手術のためには七千ルピーが必要だと告げられる。お金が必要になったバルフィはある行動に出るが、それが大きな事件となってしまう。
警察に追われる身となったバルフィであるが、シュルティと偶然再会する。結婚を後悔していたシュルティは、バルフィのため、そして自分のために、もう後悔しない道を歩み出す。映画史上の名言「愛とは決して後悔しないこと」(ある愛の詩)を思い出した。
この映画でも次の名言が光る。「人生最大のリスクとは、リスクを避けること」「幸せは小さな物に宿る。器の水だけでも船は出せる、信じれば。紙の鳥だって空を飛ぶ」
バルフィ役R・カプールのコミカルな演技はチャップリンやMr.ビーンを彷彿とさせる。シュルティ役I・デクルーズの美貌は誰もが認めるが、難しいジルミル役のP・チョープラーも、実は元ミス・ワールドの美貌の持ち主。別の写真を見て驚いた。
(「からしだね」2016年3月号)