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「トラッシュ! この街が輝く日まで」 2014年 イギリス、ブラジル

世界の映画 映画の世界
第9回
「トラッシュ! この街が輝く日まで」
2014年、イギリス、ブラジル。114分。
<監督>スティーヴン・ダルドリー

ブラジル・リオデジャネイロの巨大なゴミ捨て場を主な舞台にして、大物政治家、警察幹部の汚職が、3人の少年によって暴露される物語。フィクションではあるが、オリンピック開催を控えたリオで、いかにもありそうな話。いやこうした事件はブラジルのあちこちでいつも起きている。
ジョゼ・アンジェロは、汚職を追及しようとして逆に投獄された伯父(弁護士)の意志を継いで、汚職の決定的証拠を入手する。それを何重にも隠すことには成功したが、警察に捕まり、尋問の末に殺されてしまう。しかしその<秘密>を解くための財布は、ゴミ捨て場に行き着き、少年たちの手に渡る。財布にはいくつかの謎めいたものが入っていた。数字の羅列、少女の写真、コインロッカーの鍵等。
ロッカーの中には、ジョゼから伯父宛ての手紙があった。少年の一人が何とか面会にこぎつけ、少年は暗記した手紙の言葉を伝えた。
「愛する伯父さん。あなたの闘いはムダではなかったと、誓います。正義を踏みにじる腐敗との闘いは受け継がれます。あなたが灯した希望の光は燃え続けるのです。あなたが僕につないだ夢は次の世代に受け継がれます……」
羅列に見えた4つの数字は、伯父が持っていた聖書の頁、章、節、何番目の単語かを示す暗号であった。
スラムで働くアメリカ人のジュリアード神父と英語教師オリヴィアが要所要所で決定的な役割を果たす。二人の会話は聖書的ウィットに富んでいる。オリヴィアの「みんなはどこへ行ったの」という問いに、神父は「出エジプトだ」(脱出)と答え、逆にオリヴィアはビデオのSDカードについては「黙示録よ」(暴露)と切り返す。ぜひ観ていただきたい<希望>の映画である。

(「からしだね」2016年2月号掲載)

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