「ショート・ターム」 2013年 アメリカ
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第11回
「ショート・ターム」
2013年、アメリカ。97分。
<監督>デスティン・クレットン
そこは、「ショート・ターム12」というさまざまな問題を抱える少年少女のためのグループ・ホーム型保護施設。ベッドにうずくまっていたかと思うと、突然走り出し、脱走を試みるサミー。強がり屋であるが、施設を出なければならない18歳を控え、極度に不安定になるマーカス。それをからかうルイス。それぞれ心に深い傷をもっている。
施設には4人の若い現場スタッフがいる。子どもたちを安全に過ごさせるのが彼らの仕事である。誰かが脱走すると、外では体に触れてはならない、無理に連れ戻してはならないという決まりがある。
責任者のグレイスと同僚のメイソンは恋人同士。グレイスは彼にも言えない秘密を抱えているが、メイソンは彼女を優しく包み込むように見守っている。グレイスが妊娠したことを告げると、メイソンは大喜びするが、グレイスは一人で何かに怯えている。
ジェイデンという少女が新たに入所してきた。自分はすぐに出るからと言って、スタッフにも心を閉ざし、自傷行為を繰り返している。グレイスは、彼女の行動や作文から父親による虐待を受けているのではないかと察する。ジェイデンが父親に連れ戻されたことを知ったグレイスは正気を失ったようになり、ジェイデンの家へと向かうのである。
ミニシアター系でありながら、ロカルノ国際映画祭はじめ世界中で30もの映画賞を受賞し、実名レビュー評価サイト「ロッテントマト」では満足度99%(史上最高)という驚異の評価を得た。
「明けない夜はない。闇が深ければ深いほど、やがて訪れる夜明けが美しい」というキャッチコピー通りの、心が洗われるような感動作である。