「サンドラの週末」2014年 ベルギー、フランス、イタリア
世界の映画 映画の世界
第13回
「サンドラの週末」
2014年、ベルギー、フランス、イタリア。95分。
<監督>ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
「息子のまなざし」、「ある子供」、「ロルナの祈り」、「少年と自転車」と、社会の底辺で生きる人々や心の深い闇をもった人々を描いて魂を揺さぶる傑作を次々と世に送り出してきたダルデンヌ兄弟監督。
今回の「サンドラの週末」は、これまでの作品に比べれば、私たちの日常に近い設定と言えるかもしれない。しかしそれだけに、物語は身近な真実味をもって迫ってくる。
サンドラは体調不良で休職していたが、職場復帰しようとした途端、突然、解雇を告げられた。復職の条件は、16人の同僚のうち過半数がボーナスを辞退すること。すでに一度投票がなされていたが、主任の圧力があったとして、週明けの月曜日に再投票が行われることとなった。サンドラかボーナスか。
サンドラは夫に励まされて、週末に同僚の家を訪ね、自分に投票してくれるようお願いすることにした。
家庭の事情でどうしてもボーナスが必要だと謝る人。あからさまに居留守を使う人。サンドラは心の平静さを保つために薬を飲み続ける。「君はかつて僕が失敗した時、僕をかばって助けてくれた。今度は必ず君に投票する」と泣きながら約束する人。サンドラは、この説得活動の中で貴重なことを学んでいくのである。
月曜日の朝が来た。サンドラの努力は報われるのか。結末はそう単純ではないのだが、サンドラの最後の小さな笑顔が心に残る。