「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」 2018年 アメリカ
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第94回
「アメイジング・グレイス
アレサ・フランクリン」
2018年 アメリカ 90分
〈監督〉シドニー・ポラック
〈原題〉Amazing Grace
ソウルの女王と呼ばれたアレサ・フランクリン(1942~2018)の伝説のゴスペル・ライブ映像である。1972年1月13日、14日に、ロサンジェルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプテスト教会で収録された。レコードは、300万枚以上の大ヒットとなったが、実はドキュメンタリー映画としても録画されていた。しかし音と映像がシンクロできないという技術的な問題によってお蔵入りになってしまっていたのだ。その後の技術の進歩により長い年月を経て、日の目を見ることになった。
ソウル・ミュージックで大ヒットを重ねていたアレサであるが、牧師の娘である彼女の原点は教会であり、ゴスペルであることを、このライブは証している。聖歌隊の入場からワクワクさせられるが、彼女が「ホーリー・ホリー(全き聖なる方よ)と歌い始めると、いきなり魂をつかみ取られる。
有名な「いつくしみ深き」は原曲をとどめないほど大胆なアレンジで歌われる。歌詞の字幕が出るのはありがたい。
「イエスを友として持てるなんて/何という幸いだろう/私たちの罪や嘆きをすべて担ってくださる/何と私たちは恵まれているのだろう/祈ることですべてを神にゆだねられるのだから」
「尊き思い出」ではこう歌われる。「真夜中のしじまの中/聖なる秘密を/主が打ち明けてくださる/悲しみの時間/少し心細くなった時/イエス様はささやかれる/私はあなたと共にいると…」
クライマックスは、やはり「アメイジング・グレイス」である。「何という神の恵みだろう/何という甘美な響きだろうか/私のような見下げ果てた者も救ってくださった…」至福の10分間である。