1. HOME
  2. ブログ
  3. 「未来を生きる君たちへ」2010年 デンマーク

「未来を生きる君たちへ」2010年 デンマーク

世界の映画 映画の世界
第32回
「未来を生きる君たちへ」
2010年 デンマーク112分
<監督>スサンネ・ビア

やや古い映画であるが、現代世界で最も大事なテーマを扱う映画を紹介したい。
「悪人に手向かってはならない。だれかが右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」(マタイ5・39)。
イエス・キリストのこの言葉は、多くの人を戸惑わせてきた。それは弱虫の態度ではないか。それでは悪人はつけあがり、事態はより悪くなるのではないか。9・11以降の世界は、報復、自己防御、過剰な正義感によって動いているように見える。わからないでもないが、それでは世界は決してよくならないだろう。
ビア監督は、デンマークの現代社会とアフリカの難民キャンプという全く違う二つの世界を舞台に、この困難なテーマに向き合う。

少年エリアスは学校でいつもいじめられている。転校生のクリスチャンは、エリアスの窮地を救い、いじめっ子に仕返しをする。エリアスの父親アントンは、アフリカの難民キャンプで働く医師であるが、デンマークと行ったり来たりし、エリアスとはインターネット電話でつながっている。アントンは、殴られても決して殴り返さない平和主義者である。不満そうなエリアスに対しても、あえてそういう態度を見せて、大事なことを教えようとする。
アントンは、難民キャンプで妊婦の腹を切り裂く極悪人の治療もしてやるのだが、人々は納得がいかず不満をつのらせる。アントンの平和主義も極悪人のひどい言葉で、一瞬のゆらぎを見せる。
その頃、デンマークでは、悪い大人を罰しようとするクリスチャンとエリアスの計画がとんでもない結果を引き起こそうとしていた。

2010年のアカデミー外国語映画賞とゴールデン・グローブ最優秀外国語映画賞をW受賞した名作である。

無料視聴あり!映画『未来を生きる君たちへ』の動画| 【初月無料】動画配信サービスのビデオマーケット

関連記事