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「チャップリンからの贈りもの」2014年 フランス

世界の映画 映画の世界
第18回
「チャップリンからの贈りもの」
2014年、フランス115分
<監督>グザヴィエ・ボーヴォワ

チャップリンのファンとしては、チャップリンの名をかぶせた映画を見ないわけにはいかない。一方で、「つまらなかったらゆるせない」とも思う。さてこの映画はどうか。私の期待以上のすてきな映画であった。
舞台はスイスのレマン湖畔。アルジェリアからの移民で貧しいオスマンには入院中の妻と小さな娘がいる。性格はいたって真面目で嘘がつけない。それに義理堅い。
オスマンの親友でベルギー人のエディは道化者で、アブナイ仕事もする。物語は、エディが刑務所から出所するのをオスマンが出迎えるところから始まる。かつて一度助けてもらったエディを、オスマンは見放さない。
クリスマスの日、エディはオスマン父娘のために、どこかから中古テレビを「仕入れて」きた。そこで最初に見たのが、チャップリン死去のニュースであった(実際にチャップリンが亡くなったのは1977年12月25日!)。
オスマンの妻の手術のために大金が必要であることを知ったエディは、チャップリンの遺体を「誘拐」し、身代金を要求することを思いつく(これも現実にあった死体盗難事件がもとになっている)。二人はそれを実行に移すのであるが、ドジな二人のすること、うまくいくはずがない。悪いことをしても、それは貧しさのゆえ。どこか憎めない。彼らは刑務所へ送られるのか。妻の手術はどうなるのか。
社会の底辺で生きる弱い人たちに対する監督の温かいまなざしはチャップリン譲りである。映画全体がチャップリン映画へのオマージュに満ちている。クライマックスで「ライムライト」の「エターナリー」が流れると、もうたまらない。エンディングロールの後のおまけもお見逃しなく。

 

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